【看護学科】1年生 摂食・嚥下障害看護認定看護師の特別講義を受けました。
7月23日、1年生「看護技術論Ⅰ」の授業では摂食・嚥下障害看護認定看護師をお招きし、摂食・嚥下に関わる解剖、誤嚥リスクの評価と看護、食事援助技術についての講義を受けました。
●1限目(講義:食のメカニズム) 摂食と嚥下、誤嚥とは何か、嚥下の5期の各段階、誤嚥リスクを把握するための反復唾液のみテスト、水飲みテストの方法、口腔ケアが大切であることを学びました。反復唾液のみテスト(RSST)や改訂水飲みテスト(MWST)など専門的嚥下テストを体験しました。
誤嚥(誤って気管に食べ物が入ること)については実際の飲み込む様子を嚥下造影検査の動画で見せてもらい、患者が飲み込もうとしているがなかなか飲み込めない所、飲み込んだ際に食物が気管に入っていく所を見て学ぶことができました。学生の授業後のアンケートからは「むせがなく無意識に誤嚥してそれに気付かないことがあることを学んだ。」や、「気道の方に流れていく映像を見て患者の言葉だけでなく総合的に判断しなければならないと思いました。」「誤嚥性肺炎は看護師次第で防げることができることが印象に残りました。」との意見がありました。
●2限目(演習で食事介助体験) 食事援助技術とポジショニングについての演習を実施しました。
①とろみ茶の体験
まず、準備として水分を摂取することで誤嚥による肺炎を予防するため、お茶にとろみをつけました。
お茶150mlに対して1本のとろみ剤を用いて2%(中間)のとろみ茶を作成しました。 味が変わるものではありませんが、独特の食感に多くの学生が「美味しくない。」と顔をしかめていました。患者さんも美味しくないと拒否をされることもありますが、水分摂取をしなければ脱水につながり、熱中症や脳梗塞などの病気にもつながります。どのようにして水分を摂取していただくかは看護師にかかっています。「お粥やとろみ茶など、苦手な味ではあったがこれで患者さんの安全な食事を提供できると知ることができた。」と学生は学んでいました。
②色々な状況で自分で飲み込んでみる
以下の状況で嚥下するよう先生から言われました。 「舌を使わずに飲み込んでみてください。」 「口を開けたまま閉じずに飲み込んでみてください。」 学生はどういうことだろうと思いながら実践してみますが「先生、飲み込めない。」と嚥下できません。 食べ物を嚥下するためには、舌を使って無意識に食物を咽頭(喉の奥)へ送りこみますがこれが上手くできません。口が閉じていないと舌や下顎の動きが制限される他、咽頭の動きが制限されるため「飲み込めない。」につながります。1限目の講義で嚥下のメカニズムについて解剖から説明していただいたことが実際の状況と繋げて理解することができました。
③車椅子やベッドでのポジショニング(食事にふさわしい体勢)を整える。
小柄な患者さんには膝が90度となるよう高さを付ける台を置くことで足底が床について踏ん張れることで疲労を与えないことや、顎が上がることで誤嚥しやすいため後頭部にクッションを置くこと、円背のある患者さんは少し前に座ってもらうなどの工夫、車椅子の座面がたわむ場合はタオルを敷き、背中や身体の側面にクッションやタオルを入れることで姿勢が安定して食べる動作がしやすい等、実践に役立つポイントを沢山学ぶことができました。 「身長や背中が曲がっているか等で患者1人1人に合わせて調整して行うことが大切だということが改めて分かった。」
④ベッド上では看護師役と患者役でと食事介助
お粥、ゼリー、とろみ茶の摂取の介助とミントタブレットを錠剤に見立てて内服介助を行いました。
「ポジショニングが嚥下のために大事なことが分かった。」「ベッド上で誤嚥しないよう頭をクッション類で支えたり、顎下は4横指になるようにするなど根拠に基づいた技術が学べた。」「患者役をしてみて目線が良く分かり何を食べるのか見えにくいことが分かった。」などと学べていました。
また、「患者の身になってみて、介助してもらうことは食べる楽しみが減ったと感じることが分かった。」 「患者役をして食事を楽しめるように私たちが工夫していかなければならないと感じた。」と食の意義や看護の役割についても学べていました。
講義後アンケートでは、「ポジショニングを行って、今後実践できそうですか?」「食事介助を行ってみて今後の介助に活かせそうですか」との問いには殆どの学生が「はい」に○をつけていました。 今回の特別講義を通して、学生は実践的なポジショニング・食事介助について学ぶことができました。8月の基礎看護学実習Ⅰでも今回学んだ視点を生かして臨床での看護を吸収してほしいと思います。